冬になれば野たれ死ぬだけのキリギリス
小川 葉

来年の今頃も
聞こえている唄
うたう命を
知ることもなく
野たれ死んだわたしの
希望のように
これからはじまることは
まるで懐かしい
出来事のように
知っているかのようだ
今わたしがうたう
この唄はいつかの
先祖もそのように
また子孫もそのように
語り継ぐなどという
大義名分など思わず
ただ本能のまま
冬になれば野たれ死ぬ
だけではなかったことを
伝えていきたかった
それだけだ


自由詩 冬になれば野たれ死ぬだけのキリギリス Copyright 小川 葉 2007-10-21 21:12:04
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