夏が終わり、そして秋の無い冬が来る
水町綜助
盛りに
胸像の彼女は太陽の中に沈んで溶けた
彼は銅像のように停止して笑ってみせた
また、冷えて固まっていく季節だ
薄い皮膚から
光沢が失せて
にび色の空の
凍結する質の過程だ
仕掛けなくちゃいけない(こともない)
どこかぜんぜん違う場所の町なかで
爆竹を連ねて
おだやかに
寝そべっているやつの上に放り投げれば
青いだろう空に透かされて黒く
きっと掠れて鳥のように
見紛うだろうね
墜ちるはずだ
鳥は飛ぶが
それはかならず墜ちる浮揚だ
だから爆竹でも投げておこう、と
墜ちないで
四散する
四散するし
破裂音で鳴くし
見まがえば
同じ事だ
赤い紙が
ちりぢりに
おちる
焦げて
べつにそんなことしたいとは思わないな
だから季節は冬へ向かい
墜ちもせず
破裂のない
凍結をする