アスピリン
1486 106

教室の斜め後ろの席から
窓の外を眺めるふりして
本当は君だけを見ていた

机の隅に書いた相合傘
先生が通るたびに隠して
ずっと君の事を考えていた

それだけで良かった

偶然見てしまったんだ
渡り廊下のキスシーン
頭の中が真っ白になって
泣きながら歩いた通学路

もう忘れてしまおう
華麗なロングシュートも
借りたままのシャーペンも
君を好きだったことさえも

すべては青い春の淡い幻

教室の斜め後ろの席から
密かに机の上の消しカスを
窓の外へ吹き飛ばした


自由詩 アスピリン Copyright 1486 106 2007-10-21 06:25:30
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「あ」のひびき