秋、くちすい
恋月 ぴの

それは約束された儀式
かりそめの情熱

どちらが先に瞼を閉じるのか
けものの眼差しとなり相手の出方を窺い合う

わざとらしく歯を閉じ
拒んでみせるのは
初々しさをこころにまとい

自分自身に言い聞かせてみては

紅葉色に染まる頬に
あのひとの掌

優しさにあたたかく
そして
何かの品定めでもするかのように

秋の日の逢瀬には
枯れた夕陽が良く似合う

そして

くちすいのあとの
ためいきは
甘い香りがするとあのひとは言った





自由詩 秋、くちすい Copyright 恋月 ぴの 2007-10-20 22:35:02
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