ブレーメン幾何学講習 5501-5539
黒川排除 (oldsoup)
十字路滴るほど赤く頭上に滴ってくる
壁に乗って花の柱を見上げている
みずうみとまぶた重なり合うまどろみ
虫の音に噛みしめられて向く左
逃げ来た豚立ち上がり我を干すかの回想
風景に溶け込む、手から紀元前まで
戦火の町を逆立つ栞終わる話
耳うちの最後のものは土をうつ
先に夜になる鉄塔に着く頃の夜
女子神々しく砂漠に石置くや否や舐める
水流れる名が割れて偽りに眠るとか
民家壊し黴の滅びを悼む式
角をビルより高く見上げて鹿がいる
壜色に無心去りゆく胃にコーラ
走るひとの体 海沿いの板に吹き付け
行き止まりで荷を積み替える馬は焼く
長ひとり灰や灰やと祭りの贄
通路に立てかけてある障子が和室である
巻いた白紙に腕時計して正午知る
嘶きが届く遠くの村は夜