ブレーメン幾何学講習 5457-5495
黒川排除 (oldsoup)

どこまでも巨大な川の字の一画

火を隔つ窓に照らされ痣を見る

屋根に垂れて足りるインクあと西に沈む

弾いている鍵盤に指輪置く婦人

書は棚に慄然と収まり雷雨

骨を糸で吊し・持ち・叩き野を渡る

都市群の残像をゆくタランチュラ

板焦げて以後数世紀山かくす

少女の靡き遠ざかれトランプに見えよ

金魚の今日の無言をぼくの明日とする

沼溶けるとは広がる瀬をうなされ歩く

水溜まりに溜まり火噴く

大切にかざぐるま落とす井戸の底

鳥の背を照らす実の生る枝は爪

餌氷壁を滑りゆき生き物の管へ

椰子老いて鞠に倒れる風を待つ

誰かのビデオの屋上を晴れの日の電線

打撃受けた胸像から飛び散る球体

空白の白のみ埋めて空にする

目に見える透明をくらやみにさらう


川柳 ブレーメン幾何学講習 5457-5495 Copyright 黒川排除 (oldsoup) 2007-10-19 00:23:38
notebook Home 戻る