岸
石畑由紀子
本当の入り口はどこだったのか
わかったのは
いつだったろう
どこまで上昇しても
融点はなく
波はひきかえしてゆく
そうやって
のまれても、のまれても
打ち上げられるしか
なかった
わたしは
ひとりであることを
確かめるためにここへ来た
あなたの
胸の深みが
さみしい、
さみしい、と打つ
わたしの手のひらに
なんども
やわらかく寄せてくるのを
感じるためにここへ来た
受けとるためにここへ来た
自由詩
岸
Copyright
石畑由紀子
2007-10-17 17:22:48