ソフ
カンチェルスキス






 公園の水のほとりで
 老人が自爆している
 ソフトクリーム胸に突き刺しながら


 芥子色のニット帽が
 つぶれて落ちている
 喘ぐ声は、聞こえない


 だんだんと
 暗くなってゆくのを
 とめられない
 夜だ


 まがった唇は
 先へゆくのを
 ゆずる
 膝をついて
 倒れた
 背骨だらけの老人


 水泳とちゅうの魚を
 つかまえる
 手のひらに残った
 うろこたちは


 長い吊り橋をわたって


 いずれにしても
 ゆく


 ソフトクリームのコーンは
 しっとりと
 老人の胸を破って
 落ち着いている


 公園の水のほとりで
 胸にソフトクリーム突き刺しながら
 老人は自爆した
 なきがらには
 甘い香りだけが
 漂う







自由詩 ソフ Copyright カンチェルスキス 2007-10-17 13:50:53
notebook Home