散歩にて
北大路京介
「 人生は素晴らしい 生きているって美しい 」 白い顔の犬が笑う
嗚呼 そんなことは どうでもいい 可愛いオンナの手を握りたい
「 人類が みな兄弟なら どうして殺し合うの?」 赤い頬の犬が問う
「 人間は みな敵同士だ 」
「 生まれてから死ぬまでずっと競争は続くんだ 」 青い眼の犬が言う
ああ そんなことは どうでもいい 美しいオンナの膝で寝たい
「 急ぐことはないさ のんびりと歩けばいい 」 優しそうな犬が言う
「 もし ゆっくり歩いたら きっと置いて行かれるんだ 」
「 どんどん 引き離されて行くんだ 」
「 そして 恋しい人にも 見放されてしまうんだ 」 琥珀色したカラスが喋る
アァ そんなことは どうでもいい ふくよかな胸に抱かれたい
たのしみたい。 わらってたい。 二束三文の聞き耳頭巾。
むねがいたい。 ひとこいしい。 コドクな毎日欲求不満。
はなししたい。 だれもいない。 夢と現実の差が大きい。
もうねむたい。 みたされたい。 大きな愛に包まれたい。
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