散歩にて
北大路京介



「 人生は素晴らしい  生きているって美しい 」  白い顔の犬が笑う

 嗚呼 そんなことは どうでもいい   可愛いオンナの手を握りたい


「 人類が みな兄弟なら どうして殺し合うの?」  赤い頬の犬が問う

「 人間は みな敵同士だ 」
「 生まれてから死ぬまでずっと競争は続くんだ 」  青い眼の犬が言う

 ああ そんなことは どうでもいい   美しいオンナの膝で寝たい


「 急ぐことはないさ のんびりと歩けばいい 」    優しそうな犬が言う

「 もし ゆっくり歩いたら きっと置いて行かれるんだ 」
「 どんどん 引き離されて行くんだ 」
「 そして 恋しい人にも 見放されてしまうんだ 」  琥珀色したカラスが喋る

 アァ そんなことは どうでもいい   ふくよかな胸に抱かれたい


 たのしみたい。 わらってたい。 二束三文の聞き耳頭巾。
 むねがいたい。 ひとこいしい。 コドクな毎日欲求不満。
 はなししたい。 だれもいない。 夢と現実の差が大きい。
 もうねむたい。 みたされたい。 大きな愛に包まれたい。







自由詩 散歩にて Copyright 北大路京介 2007-10-16 21:49:48
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