マグカップ
1486 106

一面に広がる花畑
真ん中に大きな木があって
枝には天使が座っている
そんな柄の描かれたマグカップ
同じものを二つ持っている理由は
多分君と僕しか知らない

見飽きるほど溢れていた笑顔が
写真の中で悲しく揺れている

最初の給料を叩いて買った
赤茶色のL字型のソファー
肘掛の部分が焼け焦げた理由も
多分君と僕しか知らない

広すぎるベッドで横になる
夢の中でさえ君には会えない

買い物帰りに歩いた道筋
泣かせるたびに連れて行った店
夕暮れの公園で誓った約束も
今では君と僕しか知らない

本当はそれすら定かではない
君はとっくに忘れたかもしれない


自由詩 マグカップ Copyright 1486 106 2007-10-16 18:08:52
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