ゆるこ

 
 
ノスタルジックな夕陽に
息を吹きかける
 
(あかね、
 
呟いては繊細に笑い
凝りすぎた肩をぐるりと回す
 
過去の残像より
今の空のほうが余程親切で
おーいおーいと呼ぶ声が
遠くから聞こえた気がした
 
 
(あかね、
 
 
夢にまでみた世界を
こんなに温かく潤して
表情の焼けたこどもたちが
笑いながら手を振った
 
 
10円玉の飴や
間のびした豆腐屋さん
 
からからと錆びた自転車に
静かに寄り添うありんこたち
 
 
熱い息を空に戻すと
茜は優しく隠してくれる
 
 
ちりりん、と
ベルの音
わたしはひとり
影を見つめた
 
 
(ねえ、あかね
 
(きみのこころを
(せかいのちゅうしんにしようか
 
 


自由詩Copyright ゆるこ 2007-10-16 16:37:02
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