野良女
北大路京介
青いテレビ画面に 手を突っ込んで
すましたニュースキャスターを握りつぶした
気を紛らわせるために 野良犬を呼んで
お酒を飲まして 初めての夜を捧げた
尻尾を振り乱し 飛びついてきた
割れたレンズが 瞼を切り裂いて
赤い滴が 頬を流れ落ちていく
*
あまりにも嫌いな奴が賞賛されていて
「そいつに犯された」と言って泣きじゃくった
自分を傷つければ とても痛いので
毛むくじゃらの腕に赤い線を入れた
優しさに甘えて 浸かってる
傷跡をなぞる指が震えてて
窓ガラスには蜥蜴が貼り付いてる
*
手懐けて 食い尽くしてあげたい
指笛吹いたら 迎えに来てくれる
尻尾を振り乱し 飛びついてくる
長い舌が 瘡蓋を剥がしとり
赤い滴が 腿を伝い伸びていく
優しさに甘えて 浸かってる
幸福を探す針が狂ってて
貼り付いてる蜥蜴も愛おしく見える
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