朝の香り
池中茉莉花

しっばれる 初冬の朝

まだ寝ている良人の顔を 覗き込む
ねこちゃんみたいな目をして
まだ根室の夢みてる

わたしは えい と起きあがり
つめたい水で顔をあらう


とんとんとん たんたんたん
大根を刻む音

めいが足下でぴょんぴょん跳ねる
リズムに合わせて
ぴょんぴょんぴょん

おこぶとかつおの だしに
自家製の赤みその 香りがまじる

すうっと ひきつけられるよに
良人が布団から起きあがる
寝ぼけてくらっと ふすまに ぼん

「いいにおいだね」



そんな ふつうの朝を
迎えられるようになることが
今のわたしのささやかな願い


自由詩 朝の香り Copyright 池中茉莉花 2007-10-14 18:38:57
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