すきすぎた
木屋 亞万

すきすぎたんだ私
飢えたノドから浮き出た舌は
裂けてまたさけて裂けて
枝分かれた舌を折るように握り締めて
獲物に襲いかかろうか
果実をもぎ取ってやろうか


はりつめていく胃とは裏腹に
目は胡散臭く潤み始める
罠だ罠なんだ耳は確かに聞いた
騙されてはいけないと
ストライキを行う両手


頭から外れて落ちたネジ達が
クロクロムと左右に揺れて
正常な機能を果たせなくなる
故障の理由は目に見えている


ついに目が眩み出した
一際甲高い耳鳴りが突き抜ける
今にも膝から崩れてしまいそうだ
いつのまにか足は笑っている


すきすぎたんだ私のお腹
私は膝と一緒に
腹を抱えて笑い転げた
ネジ達はまだクロクロ揺れていた


自由詩 すきすぎた Copyright 木屋 亞万 2007-10-13 23:31:20
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