すきすぎた
木屋 亞万
すきすぎたんだ私
飢えたノドから浮き出た舌は
裂けてまたさけて裂けて
枝分かれた舌を折るように握り締めて
獲物に襲いかかろうか
果実をもぎ取ってやろうか
はりつめていく胃とは裏腹に
目は胡散臭く潤み始める
罠だ罠なんだ耳は確かに聞いた
騙されてはいけないと
ストライキを行う両手
頭から外れて落ちたネジ達が
クロクロムと左右に揺れて
正常な機能を果たせなくなる
故障の理由は目に見えている
ついに目が眩み出した
一際甲高い耳鳴りが突き抜ける
今にも膝から崩れてしまいそうだ
いつのまにか足は笑っている
すきすぎたんだ私のお腹
私は膝と一緒に
腹を抱えて笑い転げた
ネジ達はまだクロクロ揺れていた