「桔梗のしづく」
Rin.



桔梗のむらさきを聴く、と
夜の二歩手前が
どこまでもやわらかな鎖で
約束と小指を繋ぐ

硝子の鉢に浮かんで
むらさきは、鳴る
秋ですね と
ただそれだけを告げるために

桔梗、
そのむらさきを
つまんで
弄んでは絞ってみても、それは
皮膚を濡らすだけの
しなやかな透明

しづく

手折られても
花であることが
すっかり溶け出しても
硝子に透ける水は
夜になったりなどは、しない






自由詩 「桔梗のしづく」 Copyright Rin. 2007-10-13 22:06:32
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