ふらいぱんっていうレストラン、絶望のディナーショー
うおくきん

「ふらいぱんっていうレストラン」
ふらいぱんのおばさん、いつも店の外を見張ってる。
バス停でバス待つ人を見張ってる。
お客さんがいないから、いつ何時も見張ってる。
店を構えて20年、休みの日以外毎日見張ってる。
恐い。恐い。恐い!!
あの枯れた目で見られるとめまいがする。
あの枯れた目線と目が合うと絶叫したくなる。
やめてください!!
町内ではあなたの見張りっぷりが有名なんですよ!!!!
監視用アンドロイドみたいって言われてるんですよ!!!!!

でも、ふらいぱんにはいい思い出もあるんだ。
初めての家族そろっての外食!!
16歳にして初めて外でごはんを食べに連れていってもらったんだ。
嬉しいいいいいいい!!
絶望的に泣きたいぐらい嬉しいいいいいいい!!!!
ウチから歩いて5分の枯れたレストランだけどね。
僕、弟、お母さん、おばあちゃん。
僕、弟、お母さん、おばあちゃん。
僕、弟、お母さん、おばあちゃん。
あれ、あれ、あれ、お父さんがいないよ??
なんででしょうか????
お父さんはもう家族じゃないのかな??????
まあ、いっか、もう殴られないですむし。
まあ、いっか、どーせ、2、3日したら帰ってくるだろうし。
お母さんはまだ家族だあ。
だって、僕をまだ調教してくれるもん。
ふらいぱんに行く前に近所の雑木林でつかまえてきたコクワガタを手にのせていたら、「お前、なにやってんの!!」って叫んで、かわいいコクワガタを地面に叩き付けて踏みつぶしてくれたもん。
ペット連れ込みお断りのお店なんだって。
僕は学習機能を搭載してるレプリカントだから1発でおぼえたよ。
僕はいい子いい子いい子いい子いい子いい子いい子いい子・・・
まあ、いい子いい子、誰もしてくれないけどね。

でてきたごはんはミックスグリル。
わーお、拒食症を治すにはぴったりのチョイスなんじゃないかな。
お医者さんの命令なのかしら?
でも、よくわからん肉どもでした。
まったくよくわからん肉どもでした!!
吐き気をもよおす肉どもでした!!!!
僕を殺す気満々の肉どもでした!!!!!!
3種類。
人肉、犬肉、猫肉かな?
1時間以上かけて頑張って残さず食べたよ。
拒食症を克服するために頑張って残さず食べたよ。
もちろん拒食症の僕には絶望のディナーショーでした。
無表情で「うげえええーーーー!!」とカロリー計算しながら、胃に殺意のある肉どもを詰め込む僕。
お母さんが飽きてお金だけ置いて帰っちゃった後も、弟とおばあちゃんは見守ってくれてた。
でも、そんなの気にしないよ。
いいんだ。
僕だって、1日、クラコット1枚の食生活からおさらばしたかったんだから、いいんだ。
ウチ帰って、速攻でピンクの下剤20錠飲んじゃったけど、いいんだ。
コーラック様々々だから、いいんだ。
体重40キロキープで、病的ピース、ピース!!
お母さん、いつも調教ありがとう!!
お母さん、いつもお金ありがとう!!!!
お母さん、いつも絶望ありがとう!!!!!!


自由詩 ふらいぱんっていうレストラン、絶望のディナーショー Copyright うおくきん 2007-10-13 20:47:43
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