夜を閉じる
深月アヤ

抱いて欲しいと言えないままに
時間だけが過ぎて行く



ようやく暗くなった海の

闇と音に紛れて

貴方は「キスしよう」

と私に言った


唇がただ触れるだけのキス


百戦錬磨の戦士が

なんだか照れているようで

そのあと私は長いキスを返した


帰したくねーって
貴方は言ったけれど私はそれを飲み込んだ



私には貴方に言えないことがたくさんあって

貴方はとても美が好きで

美しくない私など

死んでもお見せ出来ないから

このまま去ることを考えてたのに


あのまま抱いていたかった
飽きるほどキスしていたかった



一人の夜にメールが届く



覚えておくから

あの時の鼓動

汗の匂いを

恥じた貴方も


全部、全部ね




自由詩 夜を閉じる Copyright 深月アヤ 2007-10-12 13:13:38
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