「 ほねつぎ 」にて 
服部 剛

うつぶせに寝る 
一週間分疲れたからだを 
ほねつぎの先生は 
大きい手の親指で 

 ぐぃっ ぐぃっ 

とのばしてくれる 

「 マッサージしてもらい 
  すじがのびると 
  (少しはぼくも働いてるんだなぁ。・・・) 
  と思います               」 

「 いやいやごう君 
  長い間がんばってるよ 
  ほんとうに・・・   」 

そう言いながら先生は 
野球少年だった小さいぼくが 
足首を捻り 
初めて診てもらったあの頃から 
数えきれない疲れた人の 
心と体をほぐし続けて20年 
今日も変わらず患者はみんな 
一息ついてあたたまる 

「 さぁ、また 
  一週間がんばって! 」 

両手で ぱん と 
ほぐれた腰をたたかれ 

「 ありがとうございました 」 

少年時代のかけ声で 
ほねつぎのドアを開いて 
信号待ちの交差点に立ち止まる 

まんねりしていた今日この頃を 
(やりなおそう)と 
不思議な力が湧いてきた 















自由詩 「 ほねつぎ 」にて  Copyright 服部 剛 2007-10-11 19:55:40
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