「 ほねつぎ 」にて
服部 剛
うつぶせに寝る
一週間分疲れたからだを
ほねつぎの先生は
大きい手の親指で
ぐぃっ ぐぃっ
とのばしてくれる
「 マッサージしてもらい
すじがのびると
(少しはぼくも働いてるんだなぁ。・・・)
と思います 」
「 いやいや剛君
長い間がんばってるよ
ほんとうに・・・ 」
そう言いながら先生は
野球少年だった小さいぼくが
足首を捻り
初めて診てもらったあの頃から
数えきれない疲れた人の
心と体をほぐし続けて20年
今日も変わらず患者は皆
一息ついてあたたまる
「 さぁ、また
一週間がんばって! 」
両手で ぱん と
ほぐれた腰をたたかれ
「 ありがとうございました 」
少年時代のかけ声で
ほねつぎのドアを開いて
信号待ちの交差点に立ち止まる
まんねりしていた今日この頃を
(やりなおそう)と
不思議な力が湧いてきた