十四歳
アオゾラ誤爆

血がでてるよ

言われて気付いた


そういえば痛い
なでるような叩くような信号が破壊されてるような
感覚
いつ配線を傷つけたのか
正常のなかの異常な部分がむきだしになる
滲み出る


ああ、私天才じゃないんだ


なに言ってんの


冗談だよ。


……絆創膏。



-



さっき

ドラッグストアに行ったら工藤がいたから手でも振ろうかなと思ったけど止めた
去年のクラス、私はすきだったけど
工藤は今のほうがきっと楽しいんだろう
彼女と同じクラスになったんだもんね、よかったじゃん それを言いたかったけど別に
私が言うことでもないしもう10月だ、今更かとおもって
店内の、お菓子売り場よりもちいさい
薬売り場に工藤がはいってくのをみすごした。

一番最初の席替えで隣だったこと、もう、忘れたよね
結構嬉しかったんだけどな、でも
私もあんまり覚えていない


母親に頼まれて買った天然水2リットル2本、
重い
徐々に冬になるマンションのエントランス、抜けて
エレベーターを待っている。

はやく、はやく迎えにきてよ


-



洗うべき肌
シャワーのぬるいお湯が私を流すけど
たとえば今おなかが痛いから、ここで倒れこんだとして
誰にも気付かれなかったら死んだりもするのかな
すこしずつ髪の毛が抜けて排水溝につまって、お風呂場にお湯がたまって
病院の待合室の
角のまるい水槽みたいに
ゆたゆたと戯れる液体の間に溺れてしまうのかな

そんな思考を妨げるみたいに
すこすこ、と音を立てて
小さな泡が宙に溶けた


ボディーソープが終わる


私は、眼を瞑る



-


チャイムが聞こえない


うちの親父超キモイんだけどー
うちもうちもーマジうざいよねー死んでって感じ
ありえないよねー


なに、それ
死んでって感じって
どんな感じ
ねえ


チャイムが聞こえない


いってえ、誰だよ黒板消し投げた奴ー
忘れてた、あたし今日日直じゃん
さおりー彼氏呼んでるよー
あ、その消しゴム俺の!


チャイムが聞こえない


でさー、ラストシーンがマジなけるのお
結局主人公死ぬんだけどーほんと感動したしっ


チャイム
チャイムが聞こえない


そーいえば西川さん …したかもしれないんだってー
工藤が  検査  買ってるとこ偶然見ちゃってさー
うっそーやばいじゃん
もしできてたら退学とかなんのー?
ならないっしょ中学なんだし
そっかあ


え、今  なんて言った



チャイムで聞こえない


-



ねえお母さん、
私、毎日詩を書いてるよ
夜中にいつまでもメールしてるなっていうけど
メールなんて嘘だよ
ねえお母さん
私、毎日詩を書いてるよ。
淋しかったり嬉しかったりちゃんと苦しいよ。
泣けない。



――痛い


あ、眩しい。
12時をさす針の色に今はじめて気付いた。


痛い。






自由詩 十四歳 Copyright アオゾラ誤爆 2007-10-09 21:28:30
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