赤い蜜
AKiHiCo

落ちてゆきましょう
僕はもう自由になるのです
靴を脱ぎ捨てて
そう裸足で
底のない暗闇へ
光の雫を弾きながら

垂直に垂直に
風はいつだって僕の敵だった
髪を服を乱していたずらに
線となり渦となって
この身に纏わり

駄目だな屑だな
些細な言葉で傷付いてばかり
卑屈になって
まともに見つめられない世界
目を合わせられない

誰かが囁く声
ごめんなさいごめんなさい
耳を塞いでも止まらない
追いかけて来ないで
僕が一体何をした

ゆっくり全てから解けましょう
もうこれからは自由へ
僕が僕でなくなる最高の瞬間
一度きりの赤い果実
皆に見せてあげましょう
悲しみで創りあげたこの内側を

咲かせてみせましょう
その姿は彼岸花そう花弁は薔薇
漂う仄残り香は辛夷

舞って砕けてこの心
誰からも気付かれないままの
凍ったまま解けずに逃げれずに
泣く事さえ出来ず

闇に任せましょう
もうすぐ僕は自由になれるのです
拘束された心を許してやれるのです

全ての人が敵ならば
見方がいないのならば
僕が僕を助けてあげましょう

アスファルトに流れる柘榴



自由詩 赤い蜜 Copyright AKiHiCo 2007-10-09 19:50:58
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