again
ふるる

駅へ向かう道すがら
はいいろをした四本足の生き物が
とぼとぼと歩いていた

(   )駅では
列車が遅れていることをみんな知っていて
でも
みんな口をつぐんでいた

恋人たちは
別れを惜しむことに飽きて
結婚式を挙げ
子供が生まれて
離婚もすませ
もうとても大人しい

なにも知らないこどもたち
どうして列車は遅れているの、と聞く
みんな答えてくれないので
聞いてはいけないのかなと
なんとなく

改札口では
はいいろをした四本足の生き物が
あまった切符を集め
もぐもぐと食べ散らかしていた

こどもたちは
夏は熱く
冬は冷たいレールに
耳を押し付けて
列車の音が聞こえないかと考え考え



ホームでみんなが
思い思いの格好で眠っているとき
列車は通り過ぎているのだが

音もなく影のようなので

こどもが寝返りをうつほどの
興味も引かない

線路の途中では
はいいろをした四本足の生き物が
きちんと手足をそろえて
レールの間に寝そべっている

その場所が好きなのだろう

みんなが見上げる空はいつも同じ色
あの生き物と同じ

仕事のない切符切りは時計を見て
列車が来る方を向き
耳をすますとごくたまに音が聞こえる
あるいは
声なのかもしれない
意味のない

again,again,and again.


自由詩 again Copyright ふるる 2007-10-08 15:05:43
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