again
ふるる
駅へ向かう道すがら
はいいろをした四本足の生き物が
とぼとぼと歩いていた
( )駅では
列車が遅れていることをみんな知っていて
でも
みんな口をつぐんでいた
恋人たちは
別れを惜しむことに飽きて
結婚式を挙げ
子供が生まれて
離婚もすませ
もうとても大人しい
なにも知らないこどもたち
どうして列車は遅れているの、と聞く
みんな答えてくれないので
聞いてはいけないのかなと
なんとなく
改札口では
はいいろをした四本足の生き物が
あまった切符を集め
もぐもぐと食べ散らかしていた
こどもたちは
夏は熱く
冬は冷たいレールに
耳を押し付けて
列車の音が聞こえないかと考え考え
夜
ホームでみんなが
思い思いの格好で眠っているとき
列車は通り過ぎているのだが
音もなく影のようなので
こどもが寝返りをうつほどの
興味も引かない
線路の途中では
はいいろをした四本足の生き物が
きちんと手足をそろえて
レールの間に寝そべっている
その場所が好きなのだろう
みんなが見上げる空はいつも同じ色
あの生き物と同じ
仕事のない切符切りは時計を見て
列車が来る方を向き
耳をすますとごくたまに音が聞こえる
あるいは
声なのかもしれない
意味のない
again,again,and again.
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