山下 清 
服部 剛

呑気のんきな仮面を被っていても 
ほんとうは 
わたしもあなたとおんなじように 
ひとつの大きい影を背負って 
流浪の旅路を歩いています 

木造校舎の開いた窓に 
手を振って 
歩き始めたあの日から 

灰色のしなびたシャツの 
ボタンだけはしっかり留めて 
胸ポケットは空のまま 
汚れたリュックを背中にしょって 

スケッチブックとペンを手に 
遥かな空の浮雲へ 
まっすぐ伸びる線路の
向こうへゆくのです 

時に深夜の駅舎を宿にして 
ベンチに裸で寝そべったまま
怪訝な顔した駅員に
叩き起こされながら 

時に水遊びの海に溺れ
知らない誰かにすくわれて 
取り残された浜辺でひとり 
よれよれ立ち上がりながら 

見も知らぬ明日へと続く 
あのトンネルの 
向こう側にゆくのです 

黒影覆うわたしの顔を 
見上げた空の雲間から 
光で照らす 
飼い主みたいな誰かが 
わたしの名前を呼ぶほうへ 

スケッチブックとペンを手に 
まっすぐ伸びる線路の上を 
わたしは歩いてゆくのです 















































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































自由詩 山下 清  Copyright 服部 剛 2007-10-07 17:29:50
notebook Home 戻る