赤い扉 Ⅱ
海月

刹那の叫びの声のする方
深紅の瞳をした少女が
何も言わずにこちらを見ている

赤い扉は未だに開くことはない

指を売った少年が残りの指を売りに出す
手の中には掴む事の出来ない金
乾いた冷たさが肌を伝う

銀の鍵は電灯に掛けたまま

禁断の実を齧り
追い出された


純白のドレスが泥に塗れて
胸の薔薇は枯れ果てて
棘の痛みが消えていた

二度と帰らぬ
淡き希望の日々
想い描かない
戦慄殺戮の日々

教会の鐘は今日も鳴らないまま

青い果実の味は期待を裏切り
少女と少年は騙された事に気づかず
病の母親と兄弟に渡す

銀色の髪が風に靡き
空を裂く音が響く

それは罪の深さを物語る黒か?
それとも人らしさを演じる赤か?

流れ出す液体は渇いた地面を流れる

純白のドレスが赤黒く染まり

赤い扉は開いた




自由詩 赤い扉 Ⅱ Copyright 海月 2007-10-07 16:30:36
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