海の少女 Here she comes
木葉 揺

レモン油にうたれ
泳ぎぬける頬白鮫
少年とケンカした後のように
胸の痛みを背で弾く

時には表情をくずせばいい
恥ずかしい格好で
私が下から足でこづいてあげる

知らない 
     誰も知らない
 

きらきら光る透明のひだは
珊瑚から上る噂の粒に
煽られたあの子が
狂い泳いだ跡だということを

海底で手枕の私が
8mの気泡を一つ

揺れながら 
     浮かびながら

やがてあの子を包むように


自由詩 海の少女 Here she comes Copyright 木葉 揺 2007-10-04 23:50:46
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