大人の飲み物
新守山ダダマ

小学生の頃、学校から帰ってきて喉が渇いていたので
冷蔵庫を開けた
コップに入っていたアイスティーがあったので早速飲んだら
それはブランデーだった
それが初めて知った大人の味だった
今でもブランデーは飲めないけど
あの衝撃は今でも忘れられない
今でもブランデーの色はおいしそうに見えるが
大人になってから一口か二口試してはみたが
あれはとてつもなくまずい、いや危険な飲み物なのだ
本当に死ぬかと思ったのだから
私の味覚がまだ子供なんだろうか
いや私という人間自身がまだ子供かもしれない
思えばいろんなことが普通の大人より遅れている
コーヒーもミルクと砂糖を入れなきゃ飲めないのだ
いやまた味覚の話になってしまったが私はそんなことを言いたいのではない
私は大人になりきれていない
平均台を渡りきれず 相当道を外れてしまった
そしてブランデーのあのおいしそうな色は
いつまでもおいしそうな色のままだ
危ないとは思いながら、あの色が、あの輝きが気になってしょうがない
ああいつかはあれを本当においしく飲んでみたい
ブランデー 魔法の飲み物
現実の私は今日もグラスに午後の紅茶を入れて
氷をカランコロンと言わせてしみじみ飲むのだ


自由詩 大人の飲み物 Copyright 新守山ダダマ 2007-10-03 04:40:56
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