嫁入り
短角牛

おじさんをたずねていくと

いとこの女の子が大きくなっていた。

久しぶりなので小遣いをあげると

喜び跳ねて菓子屋に行った。

秋入梅のなかで、妙に晴れたこの日に

おじさんはやがて打ちっぱなしから帰ってきた。

久しぶりの再開に昼から呑んでいたら

突然の秋時雨。

急に降られてびしょぬれて帰ったいとこは

狐がお嫁にいったんや、と買ってきた菓子を食べながらぽつり。

おばさんはやさしくタオルで頭を拭いてやり、

おじさんは嫁入りに降られた娘を見て

少し寂しそうに僕に一杯注いでくれた。

あの酒は、とてもやわらかだった。


自由詩 嫁入り Copyright 短角牛 2007-10-02 19:10:35
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