ひかりきこえない
黒川排除 (oldsoup)

頬を伝うスペードの影月光浴びて

滝のそばで膨らむぬいぐるみの静けさ

想像上入り組んでいる鯨は筒

生まれ変わる前に貸した三輪車でやって来た

髪を外に垂らす日の夜の長い髪

船寄せて星からなだらかな密度

雨ふるこころに稜線潜り込みけぶる

黙る過程に墓標あり血縁で繋ぐ

予定地にただ在り無数にある木箱

縋る影に浮遊され日向まさぐる本体

吸い込まれそうな目の鏡越しの私の母

向こう岸の縄を力無く絞める

望遠鏡折れるまで押し当て故郷にする

発音の妨げに雫 石を打つ

土台の蛇腹がどこまでも伸び成層圏

一辺をブイ埋め尽くす港町

風吹かずさては無人の倉の中

幹にたかる子供ら既に一部枝

夕暮れのテーブルの上に大歯車

誰もいない昼日に一度夜に傾く


川柳 ひかりきこえない Copyright 黒川排除 (oldsoup) 2007-10-02 14:25:18
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