フクロネヅミ

 かえってしまった

温めることは出来ないと思う
キスも
もたれかかることも

ただ、匂いだけは忘れないし
変わらずにあるのだと思う





側にいること、
今夜が一番難しいんだと
そう感じている

黙っていれば時間は過ぎてくれるけど
夜が僕の
うなじをしっかり掴んで

声を出すな
そういっている

静かに
それぞれがどこかを痛めながら
音は情に混じり合っていくのだけれど



 大事なことはなんだろうか
 お別れを言うことだろうか


そっと頬を撫でることも
必要ないのだろう


 在って 
 無いもの 


形を考えながらずっと座っている


 傍で
 少し離れた傍で    
(本当は、うごけないのかもしれない)






朝が
誰より早く
きみを焼き抱いていだいて

燃えては枯れる
深い緑が
思い出分だけの芝生に見えた


 きみは庭に寝ているのか


場違いな言葉をかけてあげたい





滲みるほど浴びた
匂いは
忘れない と
いえる


十一時
四十七分


 形は変われど。


 


自由詩Copyright フクロネヅミ 2007-10-01 07:34:15
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