香
フクロネヅミ
かえってしまった
温めることは出来ないと思う
キスも
もたれかかることも
ただ、匂いだけは忘れないし
変わらずにあるのだと思う
、
側にいること、
今夜が一番難しいんだと
そう感じている
黙っていれば時間は過ぎてくれるけど
夜が僕の
うなじをしっかり掴んで
声を出すな
そういっている
静かに
それぞれがどこかを痛めながら
音は情に混じり合っていくのだけれど
大事なことはなんだろうか
お別れを言うことだろうか
そっと頬を撫でることも
必要ないのだろう
在って
無いもの
形を考えながらずっと座っている
傍で
少し離れた傍で
(本当は、うごけないのかもしれない)
、
朝が
誰より早く
きみを焼き
抱いて
燃えては枯れる
深い緑が
思い出分だけの芝生に見えた
きみは庭に寝ているのか
場違いな言葉をかけてあげたい
、
滲みるほど浴びた
匂いは
忘れない と
いえる
十一時
四十七分
形は変われど。