沈黙する夜の始まりには
りゅうのあくび

巡り合った
ばかりで恋する人に逢う
約束をしたけれど
それから 
まだ逢えてはいない
恋する人からは
祈りをもらって
そんな小さな
祈りの中に
まもなく
沈黙する
夜は始まる


ゆったりとした
記憶のなかで
恋の旋律は
すでに同じ音階で
弾くことすらできずに
いくらリズムを探しても
恋する人の声もなくて
沈黙する
夜は訪れる


誰にも
行き当たることの
できない
未来へと
回転するはずの
歯車はもう
廻らない
壊れかけた
古いオルゴール箱のなかで
背筋がすらりと
のびそうな
ソプラノの
メタル音がした
気がする
とても静かに
沈黙する
夜は響いている


遠方へと臨む
屋根のある街の風景を
眺めることのできる
屋上へ登る
階段のような
そんな朝を迎えるための
いっときを想って
情熱に焼けるまなざしのような
太陽の陽射しと
夜明けの空を
飛んでいく鳥の群れに
迎えられる朝を
過ごすことが
できたらいいと思って
深い眠りに誘われて
音もない
静寂の夜は
続いてゆく






自由詩 沈黙する夜の始まりには Copyright りゅうのあくび 2007-09-30 23:47:11
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