アウト・サイド
まりも

あたしはずっと
小さな森に閉じこもって
鳥の囀りと風の音に守られて
一人で立っていると思い込んでいた

それは今も変わらない

外の世界に心底憧れているのに
進んで外の空気に触れようとはしないで

むしろ小さな森の唯一の姫でいられることに
不満を抱きつつも満足した顔をしている

いや実際、不満なのだ。

外に出たい 暖かい空気に触れてみたい
光が降り注ぐ草原で スカートを翻して
子供のころみたいに遊んでみたい

そんな気持ちを大人ぶって
押さえ込んでこれでいいって
無理やり納得してきた

そんなことを繰り返すうちに
あたしはすっかり臆病になり
森もさらに規模を縮小して
木々が鬱蒼と茂る庭に変え
せっかくだからと垣根も作り

外部との隔たりはさらに大きくなって
あたしはどんどん卑しくなった

ただ泣き暮らすのでは埒が明かない

そうは言ってもそろそろ寿命が近づき
あたし一人の涙だけではもう
雑草すら育たなくなって

手に入れたものは自由ではなく
失くしたものは名前をも忘れてしまった

風の音も鳥の声も聞こえなくなる前に
ここを自分の意思で出るのだ
出なくてはならないのだ


自由詩 アウト・サイド Copyright まりも 2007-09-30 22:11:41
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