親戚の欠片
朗らか


弟と川辺で遊んでいると
親戚のおじさんが流れてきた
僕達の作った小さいダムを壊しながら進み
ちょうど僕と弟の足首に引っ掛かるようにして
おじさんはやっと止まった

おじさんは皮膚の中でも絶えず流動し続けていた
飛び出した骨や肉は
所々虫に食べられていたけれど
どれくらい上の方から流れてきたのか
そしてじぶんのいたらなさを
笑いながら語ってくれた

それからおじさんは色々話した
ダムをつくるときのもうひと工夫や
川魚の取り方を教えてくれたりもした
目を輝かせてそれを理解する僕達に向けて
清々しいハイタッチのそぶりを見せたが
その手は僕達に届かなかった

そろそろ先へ進もうとおじさんが言うので
僕と弟は足をゆっくりとどけながら
この先川はどんどん汚くなるよと思わず告げた
おじさんは
知っているようなきがすると言って小さく笑った


おじさんが流れていった後も
水面には笑顔が貼りついていて





自由詩 親戚の欠片 Copyright 朗らか 2007-09-28 20:46:39
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