trunk
イツリ

あの時と
まさに同じ暮らし
同じような暮らし

どことなく赤茶けた色が
町全体に漂っているような
とあるカントリータウン

ここには
小さい箱のコンテしかないから
イメージした色が見当たらない
この町には
茶色と黄土色とこげ茶と
灰色と黒と白しかないから
イメージした夢がえがけない


極彩色の都会に出て
君に出会ったけど

疲れちゃったんだ

絵の具を溶かしたようなカラフルな飲み物を胃に流し込んでは
全ての色を反射して廻り続けるディスコボールに踊らされる毎日に

逃げるようにして
ここに帰ってきたけど

もう三日で飽きちゃった

ママの作ったパンプキンパイの匂いや
今年も麦が不作なんていうニュースには


今では違う色が知りたいなんて
ママに言ったら怒られるかな

昔使ってたコンテで
絵を描いてみようとするけれどやっぱり
使いたい色が見当たらなくて


今度はもう昔読んだ絵本の中の
青い海が頭から離れない

あそこで見た蛍の事なんてもう忘れていて
今では水色のイルカの事で頭がいっぱいな自分を
ちょっと厳禁だな、と思いつつも

パパに気付かれないように
足音を忍ばせて
トランクを取りにいったら

誰にも気付かれないように
こっそり旅に出る


自由詩 trunk Copyright イツリ 2007-09-26 19:47:39
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