それと、いくつかの朝
霜天

昨夜の暗闇がまだ腕に残っていて
深く吸い込むと、まだ匂いがする
目の奥まで染み込んでくる、とうめいな朝は
ついに溶け残ったあなたと私が、水溜りする隣で
新しい一枚を捲ろうと、もがき続けている


励ましの言葉ならば
とうに、送り届けたので
君たちのことを、振り向くこともない

ここにあるのは、昨日までと、いくつかの朝
新しい靴にはついに馴染めず
出遅れてしまった人が見送る


小さな建物と
小さな窓が見える
溶け残ってしまった夜明けには
溶け残った気持ちが沈殿して
水になれなかった輪郭が
ずぶり、と沈む
あなたも私も
それはしかたないね、と


小さな窓と
水溜り
それと、いくつかの朝
やがて旅立つ扉は倒れて
それもしかたないね、と
笑う


自由詩 それと、いくつかの朝 Copyright 霜天 2007-09-25 00:35:54
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