それと、いくつかの朝
霜天
昨夜の暗闇がまだ腕に残っていて
深く吸い込むと、まだ匂いがする
目の奥まで染み込んでくる、とうめいな朝は
ついに溶け残ったあなたと私が、水溜りする隣で
新しい一枚を捲ろうと、もがき続けている
励ましの言葉ならば
とうに、送り届けたので
君たちのことを、振り向くこともない
ここにあるのは、昨日までと、いくつかの朝
新しい靴にはついに馴染めず
出遅れてしまった人が見送る
小さな建物と
小さな窓が見える
溶け残ってしまった夜明けには
溶け残った気持ちが沈殿して
水になれなかった輪郭が
ずぶり、と沈む
あなたも私も
それはしかたないね、と
小さな窓と
水溜り
それと、いくつかの朝
やがて旅立つ扉は倒れて
それもしかたないね、と
笑う
声