悲しみの大地ルアンダへ
渡 ひろこ

20世紀の赤黒い染みが
今でも時折りフラッシュ・バックする


黒い大きな瞳が見たのは何か


虐殺か
暴行か
母の死か


彼らの瞳の奥の悲しみを
計り知ることはできない


唇から歌を奪ったのは誰か
笑みを消したのは誰か
累々とした屍の山のせいか






荒涼たる大地に
スコールが彼らを打つ
母を
その胸に抱かれる幼子を


スコールよ
この悲嘆の民を打つなら打て
そして願わくは


憎しみを
対立を
殺戮を


その容赦ない勢いで
洗い流しておくれ






1994年
彼らに一筋の光明が射すように
果たして神は
祈ったのだろうか










自由詩 悲しみの大地ルアンダへ Copyright 渡 ひろこ 2007-09-24 23:31:17
notebook Home