秋季登校女子物語
緋月 衣瑠香

疲れ果てた制服
ひとり、風を切って歩く

見慣れた通学路
憂鬱のひとつ

いつもの癖
何年も前に短く切り落とした髪
触りながら嫌気を紛らわせる

首筋を
秋の風が駆け抜ける

世界はモノクロ
秋の優雅で色鮮やかなものなんて
これっぽっちも見当たらない

唯一
白と黒以外に見えるもの
それは
学校の近所に住む
黒猫の目
あの子の目
銀杏のような、金

にゃあ

あの子が私を呼んでいる
そんな気がするから
好きじゃない学校へと
瞬く間に吸い込まれていく

またひとつ
チャイムの音が遠くで響いた


自由詩 秋季登校女子物語 Copyright 緋月 衣瑠香 2007-09-24 20:20:31
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