小さな花
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都会に迷い込んだタンポポの綿毛が
アスファルトの上で花を咲かせた
道行く人は忙しなく
誰もその存在に気付かない
それでもタンポポは咲いていた
人に踏まれても風に吹かれても
雨の降る日も汚れた空気の中で
たくましい生命の鼓動が揺れていた
誰も存在に気付かなかったけど
凛と光る命の花が咲いていた
あれから少し時は流れて
タンポポは体に種子を宿した
それに気付いた人間の子どもが
力強い呼吸で種子を飛ばした
一つの命は此処で滅びても
どこかでまた新たな命が芽生える
おぅいタンポポの子ども達よ
アスファルトの上には落ちるなよ