小舟
乱太郎
波打ち際で
砂に埋もれかけた
木製の小舟が
少年の夢にたたき起こされ
夕映えに浮かぶ
かもめが船頭になって
赤く染まった海を進んでいく
静まりかえった海面に敷かれた
赤い絨毯は
遥か遠くの水平線まで
衛兵は夢の門番
幼き頃に出会った
赤い制服を着た憧れ
ゆっくりと進み行く姿は
日々に埋もれていく者たちを
嘲笑うかのような
魚の群れを引き連れて
一人の少年の泳ぐ姿も
赤い空に映し出し
闇を道ずれに
人の気配が消されていく
白い小舟は
夢に消えていく
自由詩
小舟
Copyright
乱太郎
2007-09-21 17:32:17
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