しのぶ恋
宮市菜央

三角形に群れ成す小鳥たちを追いかけて
真夏の夕暮れを歩いていたのでした
あてもなく 陽炎の足取りで

小鳥たちが眠る樹の隣り
辿り着いたのは 
あなたの家でした

2階にほのかな明かりが見えました
あなたが小窓に顔を出すまで
わたしの星を見つめていました

やがて明かりが消えました
小窓は闇に融けました
天を仰ぐと
あなたじゃない星たちが
無数に輝いているのが見えました

生ぬるい夜更けの風が
あなたの体温を運んでくれることを願いながら
わたしはここで花になります
いつかどうぞみつけてください
朝露に泣き濡れる白百合の花を


自由詩 しのぶ恋 Copyright 宮市菜央 2007-09-21 08:25:01
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