しのぶ恋
宮市菜央
三角形に群れ成す小鳥たちを追いかけて
真夏の夕暮れを歩いていたのでした
あてもなく 陽炎の足取りで
小鳥たちが眠る樹の隣り
辿り着いたのは
あなたの家でした
2階にほのかな明かりが見えました
あなたが小窓に顔を出すまで
わたしの星を見つめていました
やがて明かりが消えました
小窓は闇に融けました
天を仰ぐと
あなたじゃない星たちが
無数に輝いているのが見えました
生ぬるい夜更けの風が
あなたの体温を運んでくれることを願いながら
わたしはここで花になります
いつかどうぞみつけてください
朝露に泣き濡れる白百合の花を