ひそひそ話と子供
美砂


胸いっぱいの誉れのためにも
きこえないふりを
しなくてはならないが
よけいきこえてくるので
いたたまれなくなる

逃げ出しなんかしない
涙もださない
汗すらださない
靴底を地に押しつけて
灼熱のグラウンドで
熱風を胸底まで吸う

(かたくなって)
(かたまって)
(ひからびろ)
(ひからびろ)
(ぜんぶはがれおちるまで)

だけどなんて
なんて
心は
じゅくじゅく
しているんだろう

かわいても
かわいても
ひからびても
ひからびても

そこだけは
どうしようもなく




自由詩 ひそひそ話と子供 Copyright 美砂 2007-09-20 22:19:37
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