燕になりたいダーナー・トゥーナー
亜樹

ダーナー・トゥーナーは
燕になりたい
燕になって
王子様の目玉を抉り取り
幸せを運ぶ感覚、というものを味わってみたい

ダーナー・トゥーナーは
燕になりたい
そのことを話すと
彼の両親は運送屋の仕事を彼に薦めた
二ヶ月ほどして
自分が運んでいるのが
幸せでないと気づいたダーナー・トゥーナーは
あっさりとその仕事をやめた

ダーナー・トゥーナーは
燕になりたい
南の国など、行きたくない
彼に幸せの手ごたえを与えてくれる王子様の側で
眠るように息絶えたい
死ぬまで側にいることを
許してくれる誰かが欲しい

ダーナー・トゥーナーは
燕になりたい
いまのところ
目玉を抉ることを許してくれる
彼の王子様は現れない
仕方がないので
ダーナー・トゥーナーは
今日も空ばかし見て過ごしてる

燕になりたいダーナー・トゥーナーは
自分が誰かの
幸福の王子になれることに
今日も気づかず過ごしてる


自由詩 燕になりたいダーナー・トゥーナー Copyright 亜樹 2007-09-19 22:33:24
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