気分転換
hiro
どんよりした空の下
石畳の広場では雑音の中
何かに追われているかの様に
人々は行き交う
ベンチの近くでは
厚い眼鏡をかけた老父が
鳩に餌をまいている
私はその光景を
木の高いところから覗いていた
枝にかけた足に力をいれ
そのまま飛び降りると
エサに目もくれず
翼を広げ鉛の空へと向かった
鉛の天を突き破ると
太陽に目を細めた
そして雲の上に転げ倒れた
仰向きで翼を広げ
呼吸が明暗を早い鼓動で行き来する
太陽の光の輪が列を成して
大空へと広がっていくのを眺めていると
首に巻いた時計のベルトが緩んだ
風と会話し終わるころには
呼吸は落ち着いていた
背負っていた焦燥感を
そっと起こさないようにおろし
私は青い空を体中に吸わせ
晴れやかな気持ちで仲間のもとへ戻った