少女の眩惑
渡 ひろこ
少女の面差しで
はにかんだ笑顔で
やさしく騙してあげる
上目遣いで
しなやかな手つきで
やわらかく招いてあげる
ふりむいた横顔
まばたきする一瞬
瞳の奥の冷めた光に
あなたはまだ気づかない
遠い昔
禁断の実
齧ってみたいと
あなたが望んだ
少女の眩惑
艶やかな髪
滑らかな肌
ふれると
鋭い刃に
斬られたような
しびれた感覚
欲しいと
のばした指先
噛んでしまった
あの刹那
もうその傷口から
瑠璃色の毒が
まわっているのを
あなたは
未
(
ま
)
だ知らない
自由詩
少女の眩惑
Copyright
渡 ひろこ
2007-09-18 17:44:03
縦