少年B
虹村 凌

あれからどのくらい経ったでしょうか
もう長い事ぼくはこうして
ここに座って何かを考えています
答えは出たり出なかったりして
相変わらずの堂々巡りです
それでも
一応元気にやっていますよ
君はどうしていますか?

君は相変わらず
何かを憎んだり
何かに憎まれていると思ったり
何かを恨んだり
何かに恨まれていると思ったり
何かを誤解したり
何かに誤解されてると思ったり
そんな事を繰り返していますか?
きっと僕も同じだと思います
君と僕に対して大きな差はありません
君は動いて
僕は動かなかっただけの事なんです
だから僕をそんな目で見ないで下さい

君は随分と遠くまで行ったと思ったら
次の日にはこの街にいたりして
すこし古い言い方をすれば
神出鬼没な人ですね
それでも相変わらずの煙草の匂いで
ここに居たのは君なんだなって
少しだけわかるんです
相変わらず珈琲は何も入れないんですか?
僕は時々
クリームと砂糖を入れるようになりました
これもこれで悪くないと思います

ところで今日は
君にひとつ相談をしようと思っているんです
君が前から知っているように
僕には大切な人がいるんだけれども
それが問題になってしまいました
気付いたら僕は包丁を持って立っていたんです
どうしたらいいですかね?
もう三日になります
右手から包丁が離れないので
今は左手で書いています
汚い字で申し訳ないけれど
答えてはくれないでしょうか


自由詩 少年B Copyright 虹村 凌 2007-09-18 17:28:24
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