そことこことないこと
渡邉建志

左利きの運転手と右利きの車掌
まっしろいホームにおりたつと赤いはた
さようなら
ホームの端のポール
今夜は空が見えない
君の色を思い出せない
今日
左利きの運転手が右手で手をふる
線路脇のテニスコート
そことここ
こことないこと
今夜は月も見えないし
君の名前も思い出せない
君の匂いも
今日は







ぼくはきみに会いに来た
なのにきみはぼくの頭蓋骨の大きさばかり測っているんだ







コニーアイランド、とてもとおいとおいところに
あなたがどこにいても、どこで息をしていても
さよならの波をおくって、
いつもきみのために、すべての日をきみのために、
すべては壊れてしまって、いちにちのおわりに、
へんな歌を夜じゅう歌って、ボートを漕いだ
ぼくらふたりきりの町へと、コニーアイランド
ぼくらをつれて、ボートは揺れて


未詩・独白 そことこことないこと Copyright 渡邉建志 2007-09-18 01:23:05
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