83%
悠詩
もし120%のわたしがいたら
わたしはいらなかっただろう
もし120%のわたしがいたら
わたしの代わりをしてくれていただろう
もし120%のわたしがいたら
親はもう少し幸せになっていただろう
もし120%のわたしがいたら
友だちはもう少し楽しめていただろう
もし120%のわたしがいたら
会社の業績は上がっていただろう
もし120%のわたしがいたら
近くのコンビニはもう少し繁盛していただろう
もし120%のわたしがいたら
人前で流暢に喋られていただろう
もし120%のわたしがいたら
あらん限りの言葉を駆使して
誇りを綴っていただろう
もし120%のわたしがいたら
わたしはその世界を見て
おこがましさを捨てて
必死でわたしの劣等生を探し出そうとしていただろう
もし120%のわたしがいたら
その愚かさに気づかなかっただろう
もし120%のわたしがいたら
そう思ったことを悔やまなかっただろう
もし120%のわたしがいたら
120%のわたしを目指そうなんて思わなかっただろう
もし120%のわたしがいたら
「いてくれるだけでいい」のひとことを信じなかっただろう
もし120%のわたしがいたら
それでも歩きつづけなきゃならないと学べなかっただろう
もし120%のわたしがいたら
みんながいてくれるだけの幸せに気づけなかっただろう
もし120%のわたしがいたら
それでもみんなは歩きつづけていると知らなかっただろう
もし120%のわたしがいたら
みんなと出逢えなかっただろう
もし120%のわたしがいたら
こんな訥々とした叫びを綴る忌々しい誇りなんて
決して持てなかっただろう
もし120%のわたしがいたら
当たり前の恥ずかしさのあまり
もし120%のわたしがいたらなんて考えて吐き出した言葉を
綴ることなんてできなかっただろう