グッドヴァイブレーション
雨宮 之人

芥子けしの花が、揺れているだろう?
低い、音だ、それは
腹の底から、汚いそこから
聞こえてきて
始まりに、俺を殺す

誰のディレクションで
俺の人生は作られていて
くだらねえと一人称で繰り返す
音楽が、ただ耳の奥で響く

生きている奴が一番悪いって
唯物論者が幸せそうに

だったら死んだことにすれば
俺も、お前も、そうしたら
生まれ変わりの物語が、そこで始まる
低い声で、それは終わりとともに始まる

どこからが本当で
どこからが嘘で
さわれないものがほとんどなんだ
でもそれを信じて人は生きている
だから、こっち側へ来な

始まりはここからだ
低い音が、聞こえたら
その音に殺されたら、それが始まりだ
響いている、澄み渡っている低音が
じきに、そこへ届く
聞こえたら、いいな、こっちへ来な
芥子の花が揺れたら、来な


自由詩 グッドヴァイブレーション Copyright 雨宮 之人 2007-09-16 05:39:26
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