夜に
蒼木りん

束縛のない 

この夜は 永遠に続く気がする

錯覚は 微かな明かりを感じる 優しい闇と 

雨に洗われた 清浄な空気のせいだ

無駄な音はない 

僅かに水の流れるような 意味のない囁きが

こころを正常に導いた


けれども、

さっきまでの私は 

両手で顔を覆ったら

簡単に涙が出てきてしまいそうなほど 頼りなかった

どうして あんなに悲しがったのか

驚くほど予感していた 

それが 確かとなっただけなのに...


「明日」という言葉が

この夜という魔法を解いてゆく

白々と 朝が迫ってくる前に

もう一度  

あの夢を見にゆこう

言葉も 目論みもない

清浄な夜の闇に 沈んで




自由詩 夜に Copyright 蒼木りん 2004-05-31 22:49:36
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